車検と整備の違いを知っておこう! Volkswagen編 Vol.1に続き、VOL.2では車検時に実施しておきたいメンテナンスを紹介!
AT関連と異音などの原因になりやすいステアリング関連について解説します。
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目次
AT本体の構造から見てもATFの交換は必要だと考える
ATでもっとも怖いのは、変速不良などによってオーバーホールが必要になるケースだが、車検時のメンテナンスとしては基本的な整備が重要になる。
まずATF交換の可否については諸説あるが、ATの構造的に見て交換が必要であると考える。これはATに精通した専門工場のメカニックも同様の意見であり、走行2万㎞を目安に、フィルターと同時に交換するのがベストなメンテナンスだと言える。そして作業はそのクルマに詳しい修理工場に依頼することが重要。ただし、クルマの状況によっても変わってくるので交換後のリスクをしっかり説明してくれる修理工場でアドバイスをもらうようにしたい。また、高年式モデルではオイルパンとフィルターが一体になっているため、個別にパーツが供給されているクルマとは費用面で多少の違いはある。だが、きっちりとメンテナンスしておきたいポイントだ。
オイル漏れにも注意が必要。まずありがちなのがATクーラーホースで、かしめ部分から漏れるケースが多く、オイルパンパッキンからの漏れも定番だ。もっとも注意したいのはAT本体からの漏れで、電子制御式のATでは基盤のコネクター部分であるカプラーから漏れることが多い。クルマによっては対策品が出るほどメジャーなポイントなので定期的なチェックは欠かせない。また、油圧センサーや回転センサーなど電気的な不良もあるので、コンピュータ診断を受けておくことも重要なメンテナンスである。
車検ではボールジョイントのブーツ切れがあるとNG
ステアリング回りの構造は、ギアボックスの形式によって異なり、ラック&ピニオン式とリサーキュレーティングボール式の2つがある。前者は現在主流のギアボックスで、後者は古めのクルマに多く採用されている。
このどちらにも共通するのがタイロッドエンドの劣化だ。タイロッドアームのボールジョイントはガタが出やすく、ステアリングが安定しなかったり、ステアリングを切るたびに異音が出るなどの症状が出る。ブーツが裂けてグリースが漏れ出すことも多い。この状態では車検も不合格になってしまうので検査前には修理されるが、ブーツ切れがなくてもガタがあるとフィーリングが悪化し、走行安定性を損なうのできっちりとメンテナンスしておきたい。
パワステフルードの漏れも、ギアボックスの形式を問わず共通する部分だ。パワステホースのかしめ部分、リザーバタンクに繋がるホース、キャップなどから漏れることが多い。
ギアボックス本体から漏れることもあり、ステアリングの重さが変わってしまったり異音が発生することがある。リサーキュレーティングボール式の場合はオーバーホールが可能だが、ラック&ピニオン式の場合は新品かリビルト品への交換となる。また、ステアリングラックに備わる車速センサーの不良で、パワーステアリングに異常が発生することもあるので覚えておきたい。
パワステ関係からのオイル漏れはにじみ程度なら問題ないが、ポタポタと垂れる状態にまで悪化すると油圧が低下し各部に大きなダメージを与えてしまう。早めの対処が必要なのは言うまでもないが、エンジンが温まる前にステアリングを切って「ウィーン」という音が出たら、パワステフルードが不足している可能性が高い。リザーバタンクを確認してオイル量が不足していたら、補充しておくことも大切なメンテナンスだ。
古めのクルマに搭載されるリサーキュレーティングボール式はギアボックスの分解整備ができるのがメリットだが、周辺の部品点数が多いのが特長。センターロッド、アイドラアームブッシュ、ステアリングダンパーなどの劣化により、ステアリングが安定しなくなることがあるので全体的なチェックが必要になる。
ドライブシャフトブーツはFF車に多いトラブル。これはドライブシャフトの両端にあるユニバーサルジョイントを保護するゴムブーツで、これが切れてしまい内部のグリースが飛んでしまうケースが多い。亀裂から水や異物が入り込み、サビの発生や内部の破損を招くこともある。ブーツが裂けていると車検では不合格になるので検査時には当然修理されるが、裂けやすいアウター側だけでなくデフ側のインナーも交換しておくと効率的で安心感も高い。
停車中にATをDレンジに入れたときに下回りからゴツンという大きな振動が響く場合、プロペラシャフトに備わるディスクジョイントの劣化が考えられる。これはプロペラシャフトの両端に備わる緩衝パーツで、ボルト留めの部分にすき間が生じてくると大きなバックラッシュが発生する。ディスクジョイントの劣化によるプロペラシャフトのガタではない場合は、プロペラシャフト自体のバランスが崩れていることも。専門店でチェックしてもらおう。
(VOL3に続く)
今回のようなメンテナンスに関する詳しい修理方法はプロに聞くのが一番!
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