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大きな変革を迎えている車検システム:OBD車検とは?

現代の輸入車には、CANデータバスをはじめとするさまざまな電子制御技術が搭載されています。それに伴い、整備環境も大きく変化してきました。その代表的な例が OBD車検です。「聞いたことはあるけれど、詳しくは知らない」という方のために、今回はこのOBD車検の目的や背景について、わかりやすく解説します。


 

目次

OBD車検(オンボード・ダイアグノーシス車検)は、車両に搭載されたコンピュータを診断し、電子ユニットやセンサーに異常がないかを検査する新しいシステムです。

本格運用は、2023年10月からスタート。
対象車両は以下の通りです:

  • 国産車:令和3年10月以降に販売された新型車
  • 輸入車:令和4年10月1日以降にフルモデルチェンジされたモデル

対象車には、車検証に「OBD検査対象車」などの記載があります(※一部対象外の車両もあり)。

近年の輸入車にはアダプティブクルーズコントロールやレーンチェンジアシストなどの安全運転支援システムが搭載されているが、これらに不具合が起きたり、部品交換後に補正をするのもスキャンツールの役割。近年の輸入車にとっては欠かせない整備ツールであり、車検時にもこれらが正常に作動していないと車検をクリアすることができない。

まず前提として押さえておきたいのが、「車検」と「整備」は全く別のものだということです。

従来の車検制度では、基本的に現時点での車両の状態を確認することが目的でした。そのため、整備をほとんど行わずに車検を通すことも可能であり、整備内容にはばらつきがあります。

もちろん、検査場には最新の検査機器が揃い、国家資格を持つ検査官による目視チェックも行われますが、これはあくまで外観や機能の現状確認にとどまっていたのです。

しかし近年、車には以下のような先進の安全装備が標準的に搭載されるようになりました:

  • 緊急自動ブレーキ
  • レーンチェンジアシスト
  • その他の運転支援システム

こうした電子ユニットやセンサーに不具合があっても、外観からは判断できません。こうした背景から長年議論されてきたのが、電子的な異常も検出できる「OBD車検」です。

OBD車検では、コンピュータ診断機(スキャンツール)を使って、車両に記録されている故障コードを読み取ります。

各自動車メーカーは、特定の故障コードを国に届け出ており、それに該当するコードが出た車両は、車検に不合格となります。

これは、従来の検査では確認できなかった電子制御システムの異常をカバーするものであり、特に自動運転や高度な安全機能の誤作動による事故を未然に防ぐことが目的です。

これまでの車検では見逃されていた電子的な不具合にも目を向けることで、より安全性の高い車社会の実現を目指すOBD車検。
クルマの進化に合わせたこの新しい制度は、これからの整備や点検のあり方にも大きな影響を与えることになるでしょう。

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