アライメントは走っているだけでも自然と狂ってきてしまうものですが、足回りの整備やローダウン、ホイールのインチアップなどを行った際にもアライメントを調整しておくのがベストです。この記事では、アライメント調整とはなにか? を解説しながら、メンテナンスのポイントを紹介していきます。
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目次
定期的に実施しておきたいアライメント調整
アライメント調整は足回りのメンテナンスとしては身近なものだが、本当のところを知っておくと、今後のカーライフにも役立つことは多い。
アライメント調整をするにあたって、よく出てくるワードが「トー」「キャンバー」「キャスター」。「トー」とはつま先という意味で、車体を真上から見た時に、進行方向に対するタイヤの角度のことを指す。ボディに対して内側をトーイン、逆に外側をトーアウトという。「キャンバー」はクルマを正面から見た時のタイヤと地面の接地角度。いわゆる「ハの字」になるのがネガティブキャンバーで、その逆がポジティブキャンバー。ネガキャン、ポジキャンと略されることが多い。「キャスター」は前輪を真横から見たときの、操舵軸(キングピン)の傾き角度のこと。リア側への傾きがプラスキャスター、フロント側への傾きがマイナスキャスターとなる。一般的にはプラスに設定されている。
これらの基準値は車種によって定められているが、走行を続けていくうちに自然にズレてしまう。また、足回りの整備、ローダウン、ホイールのインチアップなどを行なった場合にもアライメントの数値はズレるため調整が必要になるのだ。
調整をせずに放置しておくと、まっすぐ走らない、タイヤの偏磨耗、ステアリングのセンターがズレる、右カーブと左カーブでクルマの動きが異なるといった症状が出る。街中はもちろんのこと、速度が上がる高速道路などでは非常に危険な状態に陥ってしまうことがあるため、定期的にアライメント調整をしておくことは重要なメンテナンスなのである。
アライメントテスターにはいろいろとあるが、高価なテスターを使えば安心というわけではない。テスターはあくまでも測定するためのメンテナンス機器であり、実際には作業を行なうメカニックの腕が重要になる。メカニックはパソコンのモニターに表示されたデータを確認しながら調整を行なっていく。これを基準値に調整し直せば、ノーマルの乗り味を取り戻すことができるわけだ。
チューニングとしてのアライメント調整は
メカニックの腕が求められる
アライメント調整をチューニングと捉える考え方もある。ノーマルのセッティングではなく、自分の好みにあった乗り味を、アライメント調整によって実現するということだ。
これにはメカニックの経験や感覚が重要になる。オーナーがどんな走りをイメージしているかをヒアリングから導き出すわけだから、基準値に戻すよりも難しい。しかも、プロドライバーがサーキットで走るのとは違って、誰が運転しても安全を確保できるという前提のもとでのセッティングになる。
また、クルマによっては調整の範囲が狭くなることがある。クルマによってはフロントのキャンバーとキャスターを調整するためには、アッパーマウントとボディを位置決めしている金属製のピンを折るなどして取り去る必要がある。リアはトー、キャンバーともに調整できる構造になっているため、車両への改造を伴わずに調整するためには、リアのアライメントでクルマ全体の味付けを決め込んでいかなければならない。
このようにクルマによって調整方法も変わってくるのだが、それだけに、どこをどう調整すれば理想に近いフィーリングに近づけるかということを熟知しているメカニックの存在が重要。高年式のクルマになるほど、調整できる範囲は狭くなっているというから、なおさらメカニックの腕の差が現れやすいと言えるだろう。アライメントの変化による走りの違いは、想像以上に大きいのだ。
アライメントテスターは
大きな進化を遂げている
アライメントテスターとして代表的なのが3D方式とセンサー方式である。3D方式は、ホイールに装着した反射板からの情報を、高解像度のCCDカメラによって3次元処理をしてアライメントを測定する。測定のスピードと精度の高さには定評があるが、メンテナンス機器としては高価なものだ。センサー方式は従来からあるもので、ホイールに装着するセンサーそのものが測定器になる。各種センサーから検知したアライメント情報を電波や有線などにより、パソコンなどの本体へと送る仕組みとなっている。センサー自体が測定器となっているのが3D方式との違い。また、タイヤを回転させながら測定できるテスターもあり、これは走行状態のまま測定と調整ができる。
近年ではアライメントテスターも大きな進化を遂げているが、スピーディかつ正確に計測できるのが魅力。こうしたテスターの進化は、調整を行なうメカニックにとっても心強いものなのである。
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