クルマにトラブルが起きる原因は経年劣化によるものが多いですが、じつはユーザー自身がトラブルを招いてしまっているケースもあるんです。この記事では、クルマにとってNGな行動となるポイントを全3回に分けて紹介します。
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目次
ATのシフトチェンジはとにかく丁寧に操作する
ユーザー自身が意識せずやってしまうNGな行動として、まず挙げたいのが、ATを壊してしまうケース。ATの操作方法についてはとにかく丁寧に扱うことが重要。とくにRからD、またはDからRといったように逆の操作をする時はクルマが停止した状態でシフトチェンジするのが基本。例えば、車庫入れなどでバックさせる時についやってしまいがちなのが、車体がまだ前に進んでいる状態でRレンジにシフトしてしまう行為。これはATの内部で急激な逆回転が生じることで大きなダメージを与えてしまう。急いでいる時も、しっかりとブレーキを踏んで完全に停止させてから、Nレンジでひと呼吸おくイメージでゆっくりとRレンジにシフトするように心掛けたい。もちろんRからDレンジへのシフトも同様だ。
ウインドーが少しでも開いた状態でドアを閉めるのはNG
ドイツ車のトラブルとして定番なのがパワーウインドーの作動不良。中でもガラスそのものがドアの内部に落ち込んでしまう「窓落ち」と呼ばれるケースが多い。これはガラスをレギュレータに固定している樹脂製のスライドピースと呼ばれる部品が折れてしまうことが原因。
ウイークポイントと言ってもいいほどトラブルが多いウインドーレギュレータに、大きな負荷をかけてしまうのが窓が開いた状態で勢い良くドアを閉める行為だ。クーペを除けばほとんどのドイツ車はサッシのあるドアを採用しているが、ウインドーが閉まっている時はスライドピースに加え3辺のゴムがガッチリと支持した状態となっている。ところが窓が半開の状態となると、ガラスに当たっているゴムは左右側の半分程度。これでは不安定だ。さらに全開となった時には、完全にドアの内部でサッシのゴムからは外れてしまう。このような状態の時にドアを勢いよく閉めると、不安定なガラスの重さによる大きな反動がレギュレータに加わることになる。次第にダメージを与えて行くのは確かだ。
またドアを後ろ手で勢いよく閉めると、シートベルトのアンカーを挟み込んで思わぬキズを付けてしまうこともある。クルマから降りたらドアのノブを握って、30センチくらい手前から押し込むように閉めるのが正しいドアの閉め方だ。もちろん窓は閉めておくことをお忘れなく。
縁石を踏み越えるときは直角からアプローチ
もうひとつ、ありがちな行動として駐車場の出入り口などにある縁石を踏み越える場合は、縁石に対してなるべく直角からアプローチするようにしよう。
その理由は自転車に乗っている時をイメージして欲しい。浅い角度で横からタイヤを縁石に当てれば、はじき返されてハンドルを取られてしまう。クルマのタイヤでも同じようなことが起きているわけで、足回りへの衝撃や負荷は非常に大きくなる。ある程度の速度が出ていれば、それだけでサスペンションを破損したりアライメントが狂ってしまうことも十分に考えられるのだ。
またタイヤの中で最も弱いサイドウォール部分に深刻なダメージを与えてしまう可能性もある。接地面に釘が刺さったような場合はパンク修理で対応することも可能だが、サイドウォール部分に穴が開いてしまったらそのタイヤはもう使うことができない。スポーティな扁平率の低いサイドウォールが薄いタイヤであれば、低い縁石でもホイールのリム部分を傷付けてしまうこともあるだろう。足回りのためにも、タイヤ&ホイールのためにも、とにかく縁石があるところでは大回りして直角に乗り越えるように心掛けよう。このような日常の運転におけるちょっとした気遣いも、クルマを長持ちさせるためには重要なファクターとなるのである。
駐車スペースが限られている場合や他にどこにもクルマを置く場所がない時などに、左右どちらかのタイヤだけを段差に乗り上げて駐車することがあると思う。下になっている側のタイヤは車体の重さで潰れていかにも辛そうだが、これは足回りにも同様にかなりの負担を強いていることになる。なるべくなら避けたい状況だ。
クルマの足回りは前後方向の段差に対してはかなり許容量があるが、左右の段差には強くない。長時間の駐車は足回りのアライメントに悪影響がある他、ブッシュの劣化が進んでいる低年式のクルマの場合は潰れやねじれによる亀裂の発生、進行の原因となってしまうこともある。このような駐車方法はなるべく短時間で済ませるようにしたいところだ。
普段クルマを保管している駐車スペース自体が斜めになっているようなケースも考えられると思う。なるべくならこういった場所は使用しないのが一番だが、そうもいかない場合もあるだろう。そんな時は1日おきに前から駐車したり後ろから駐車したりすることで、左右の負担を分散することが可能だ。エンジン関係には気を使っている人でも、足回りはあまり気にしていないということが多いと思うが、ドイツ車の味わいはサスペンションの良さによるところが大きい。つまらないことでその味わいをスポイルしてしまわないように、気を付けたいものだ。(VOL2に続く)
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