メルセデス・ベンツ

旧世代メルセデスを維持するために重要な分解修理の活用方法

SクラスならW140、EクラスならW124、コンパクトならW201などの旧世代メルセデスを維持していく上で重要になってくるのが、ダメになった部分のみを修理する「分解修理」。リペアとも呼ばれますが、こういった修理を活用することで、維持の費用を抑えることにも繋がるのです。この記事では、その重要ポイントについて解説します。

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目次

四角いヘッドライトを装着する1980~1990年代中頃までのW140、W124、W201などのメルセデス・ベンツは、その作りの良さから今でも多くのファンが存在する。この時代のメルセデス・ベンツはクルマ好きの間では型式で呼ばれることが多く、初代EクラスをW124、3代目のSクラスならW140といった感じ。メルセデスを知らない人にとっては何のことか分からないと思うが、クルマ好きの中では、メルセデス以外でも型式で呼ばれることは多い。
さて、この時代のメルセデス・ベンツにおいて基本的な消耗品は、純正、OEM、社外品と豊富に揃っているから、維持で困るということはないのだが、純正品の価格は年々高くなっている。そのため中古パーツ市場においても、純正価格が高額なパーツは人気が高く、中古とはいえ価格も相応となる。加えて、中古パーツは程度を見極めるのが難しいため、純正の高額パーツほど選ぶのは難しい。そこで近年増えているのが、分解修理である。技術のある修理工場では自社で分解修理してくれるところもあるが、コンピュータや電子ユニットなどの分解修理を専業としている業者もある。

旧世代メルセデスに使われる
スロットルアクチュエーターは分解修理で直るのか!?

ここで紹介するスロットルアクチュエータ(スロットルボディ)とは、四角いヘッドライトを持つ世代のメルセデス・ベンツなどに使用される電動スロットルバルブのことで、定番のトラブルポイントとして知られている。このパーツにトラブルが起きると、エンジン不調や走行中にASR警告灯が点灯するなどの症状が出る。アクセルを踏んでも加速しないといった症状も多い。とくにV8やV12エンジンなど発熱量の多いクルマにトラブルが発生しやすいのだが、ネックはパーツ代が非常に高価なこと。そのため多くのユーザーから恐れられているポイントでもある。
中古品を使って対応することも可能だが、程度を見極めるのが難しく、同じような環境で使われてきたパーツであるためトラブルが再発するリスクは高い。また、こうした高額パーツの中古品は人気があるため価格も高めであることが多い。確実な修理を求められる部分だけに、中古パーツは緊急用として使うべきだろう。
そんな時の対処方法として試したいのが分解整備である。スロットルアクチュエータのトラブルの原因となっているのは、スロットル内部の基板不良やハーネスの劣化で、その多くがエンジンの熱によってダメになっている。そのため、ダメになったハーネス部分のみを修理することで再生できる可能性があるのだ。
修理工場で行ったリペア作業を見ていくと、取り外したハーネスの被膜はボロボロになって配線が剥き出しになっており、基板を見るとハンダにクラックが入っていた。そこでまずはトラブルの原因となっているハーネスを本体から切り離しキレイに補修。基板もハンダ付けし直すなど実に手間のかかる作業という印象。また専門ショップではトラブルが再発しないよう熱対策を施すなど分解修理ならではの工夫をしてくれるところもある。作業内容は依頼する工場やショップによって異なるが、こうした配慮はユーザーには嬉しい。
しかし、最近では経年劣化が進み、ハーネスの修理だけでは直らないケースも多いという。内部のマグネット、コンタクトスイッチ、モーターなどがダメになっている場合もあるのだ。残念ながら内部パーツ単体での供給がないため、作動確認が取れた中古品を使って補修するケースもあるようだ。
新品交換だと高額なパーツをリペアで安く直せるのはありがたいこと。作業を依頼する場合は、スロットルアクチュエータを取り外して送付する必要がある。工具さえあれば自分で外すことも可能だが、自信がなければなじみの修理工場を通じて依頼してもらうといい。ごまかしの修理はオススメできないが、ダメになった部分のみを交換するリペアは、今後ネオクラシック系メルセデス・ベンツを維持する上で重要なポイントになってくる。直せるものは直して快調を取り戻そう。

今回のようなメンテナンスに関する詳しい修理方法はプロに聞くのが一番!

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ハーネス部分をよく見てみると、被膜が剥がれボロボロの状態になっている。これがトラブルを引き起こす原因になっている。
スロットルアクチュエーターを分解修理したら、その下にあるガスケットも新品に交換しておきたい。正しく組み付けることでトラブルを予防できる。

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