現代のドイツ車には高度な電子制御が搭載され、電子ユニットやセンサーを多用している。メンテナンスの面から見るとこのセンサーの不良によってトラブルが起きるケースが多く、エンジン不調などの原因になっている。ここでは定番となっているポイントを紹介していこう。
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目次
センサーの不具合は突然発生するケースが多い
電子制御化が進み様々な快適装備を満載するようになった世代のメルセデス・ベンツには、色々なセンサーが使用されている。代表的なものは、クランクポジションセンサー、カムシャフトセンサー、エアマスセンサー、水温センサー、オーツーセンサーでこれらの不良によるトラブルが多い。
まずクランクポジションセンサーは、クランクが現在どの位置にあるのかをモニターして、点火タイミングなどに使用する情報を得るためのセンサー。この不良によって突然エンジンがかからなくなるトラブルが多発しているので、交換履歴がハッキリしない中古車の場合はトラブル前に換えてしまうのも手だ。部品は高くても2万円程度なので、長距離ドライブが多いユーザーならば、出先でのトラブルで必要になるコストと比較すれば微々たる金額だろう。交換作業も決して難しいものではない。
同様にエアマスセンサーも消耗品と言っていい。これは、流入する空気の量を測定するセンサー。ホットワイヤー式は、温度によって抵抗値が変わる白金の特性を利用して、白金線に一定の電流を流して加熱し、流れ込む空気量の変化によってこれが冷まされ抵抗値が変化することで電圧の変動をモニターする構造。風が強くなると寒く感じる原理を利用したセンサーである。現在では耐久性を高めたホットフィルム式が主流になっている。
エアマスセンサーはOEMパーツでも5万円前後するのでちょっと考えものだが、交換作業自体は非常に簡単にできるため、中古でも良いので予備パーツをクルマに積んでおくと安心感が高い。
水温センサーは、温度によって抵抗値が変化する金属の特性を利用して、水温の変化を抵抗値に置き換えるもの。これにより水温計、冷間時の燃料増量噴射量、電動クーリングファンのコントロールなどを行っている。これがダメになると燃料の噴射量や電動ファンが正常に作動しなくなり、エンジンが冷えている時に始動しにくいとか、水温計の表示は高いのに電動ファンが回らないなどの症状を引き起こす。
排気系に備わるオーツーセンサーは、エキゾーストマニホールド内部に試験管のような形状で飛び出してセットされている。ジルコニア素子の表面に白金をコーティングしたセンサーだ。ここでの情報を元に燃料の噴射量などを調整するため、フィードバック制御と呼ばれる。例えば、オーツーセンサーからの電気信号が途絶えた場合、エンジンは燃料が足りない状態で運転すると異常な高温になってしまい破損の恐れがあるため、燃料をどんどん濃くしてこれを防ぐ。オーツーセンサーが壊れると燃費が悪化するのはこのため。異常な信号が出たり信号が途切れた場合には、コンピュータが安全策を取るプログラムがされているのである。
センサーはクルマのあらゆる部分に使われている
センサーが使用される範囲はエンジン制御だけではなく、ABSを作動させるためのホイール回転センサーや、トラクションコントロールのためのヨーレートセンサー、ステアリングアングルセンサーといった高度なものにまで進化している。
昔はセンサーが正しく作動しているか電気テスターを片手に、センサー端子の抵抗値変化を測るというのが定番で、この時代には配線も一つ一つのセンサーに専用の線が引き回されていたから、ハーネスの色分けで配線図を見ながら辿るというやり方だった。
だが、現在ではコンピュータ診断機を介さないとセンサーのチェックは難しくなってきている。コントロール・エリア・ネットワーク・バス(CANバス)が搭載されたデジタル式の制御では、電線によってやり取りされるのは以前のような電流ではなく、信号化されたデータ電流。あくまで電気という形で送られていることに違いはないものの、大きな進化を遂げているのが分かる。
こうした仕組みを考えてみると、センサーは消耗品として考えるべきで、交換履歴が分からないセンサーについては予防整備として新品交換しておいたほうが安心だ。センサーの不具合は予兆もなく突然発生することが多いということも、その理由の一つ。エアマスセンサーは高価だが、クランク角センサー、水温センサー、オーツーセンサーは高いパーツではないので、消耗品と割り切って交換しておくことをお勧めする。
また、定期的にコンピュータ診断を受けておくことも大事。センサー類の不良は診断機で必ずモニターされるので、その状態を把握しておけば突然のエンジン不調などに悩まされる確率をグッと減らせるのだ。
今回のようなメンテナンスに関する詳しい修理方法はプロに聞くのが一番!
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