メルセデス・ベンツ

リアサスのメンテナンスでメルセデス・ベンツ本来の走りを取り戻す!

メルセデス・ベンツに採用されているマルチリンク式リアサスペンション。足回りのメンテナンスにおいてリア側は手つかずになっているケースが多いですが、この記事ではメルセデス・ベンツ本来の走りを取り戻す、リアサスペンションのメンテナンスについて紹介します。

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目次

現行型のメルセデスにも採用されているマルチリンク式リアサスペンション。クルマの進化に合わせて素材やセッティングも進化しているが、それでも基本形はW201型190シリーズやW124型Eクラスなどに用されたものと変わらない。それだけ、オリジナルのマルチリンクは素晴らしいとも言えるだろう。
しかしながら、20年、30年と車齢を重ねるごとに劣化が進んでいることは確か。フロントサスペンションはハンドリングなどに影響が出やすいため手を入れる機会が多いのだが、リアサスペンションは劣化に気づきにくいことから手つかずになっていることが多い。例えば、フロントサスの定番劣化ポイントとしてはロアアームブッシュとボールジョイントだが、さらに4本のショックアブソーバーを新品にしたとしよう。もちろん交換前に比べて乗り心地は良くなるが、それが旧世代メルセデスが持つ本来の走りかと言われれば、やはりまだ足りない。やはりマルチリンクサスを完全に再生してこそ、感動の乗り味を体感できるのである。
マルチリンクサスは、5本のリンクでハブナックルを支持する凝った構造になっている。つまり、左右両側で10本のリンクとブッシュで支えているというわけだ。リンクの配置は長年研究を重ねて誕生したセッティングなので、劣化が進めばそのバランスはたちまち崩れ、本来の性能を発揮することはできない。新品パーツと比較してどれほど劣化しているのかを見てみると、放置していたブッシュには亀裂が入り、ボールジョイントにガタが発生していた。装着状態だと分かりにくいが、取り外して比較してみると想像以上に劣化が進んでいる、というケースが多い。気づかないうちにブッシュの劣化が進み、少しずつ乗り味を悪化させていたに違いない。
この状態から完全再生させるためには、5本のリンクを全て交換してやる必要がある。スラストアーム、コントロールアーム、ストラットアーム、キャンバーアームはアームとブッシュが一体になっているのでブッシュの打ち換えはできない。そのためこの4本のリンクは新品交換となる。スプリングリンクと呼ばれるロアアームはボディ側のブッシュの打ち換えが可能だが、リンクごと交換しておきたいところ。ハブナックル側にあるベアリングも重要な部分だ。これらのアーム類を交換する際にはボルトも新品にするのが基本で、そのためのリペアキットも用意されている。
気になる費用だが、OEMパーツを使えばリンク類はそれほど高くはない。アーム単体でも販売されており、パーツショップによってはセットになっている場合もある。4本のアーム交換、ロアアームブッシュの打ち換えとベアリングの交換を加えると工賃を含めてそれなりの費用になるが、本気で長く乗ると決めたクルマであれば、費用なりの効果に満足できるはず。フィーリングが悪くてもそれなりに走ってしまうのがこの時代のメルセデスだが、本来の走りを再生してこそ、メルセデスが持つ本当の醍醐味を味わえるのである。

劣化したストラットアームのブッシュを新品と比較してみると、装着されていたものはゴムがちぎれているのが分かる。かなり負担がかかっているのが分かる。
スラストアームのブッシュが劣化してボロボロになっている。5本のリンクの中でも単体で交換されるケースが多い部分である。

ワゴンモデルなどレベライザー装着車のチェックポイント

S124型ワゴンなどでは、油圧式のセルフレベライザーが装着されているクルマがある。リアサスをメンテナンスする際には、ココもチェックしておきたいところ。
トラブルとして多いのはアキュームレーターのガス漏れ。そのまま放置すると車高が上がったままになってしまい、リアが跳ねるような感覚になる。こうなったら交換するしかない。レベリングバルブからオイルが漏れることがあるが、リンケージ自体は比較的丈夫。ホースやリザーバタンクのキャップからの漏れも多いので定期的に点検しておく必要がある。もし、レベライザーオイルが減っているようなら、どこからか漏れている証拠なので、それを目安にするのもいいだろう。
ダイムラー・ベンツによる世紀の大発明とも言えるマルチリンク式リアサスペンション。W201型190クラスに世界で初めて採用され、現代においても世界中の自動車にこのマルチリンクが採用されているのだから、当時の技術がどれほど優れていたかがよく分かる。現代ほどコンピュータによる解析が進んでいなかったにもかかわらず、これだけの完成度を誇っているのだから、当時のメルセデス・ベンツがいかによく作られているのかがよく分かる。新車から20年、30年が経過してもこの時代のメルセデスを愛好する人が多いのも頷ける話である。

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ワゴンモデルなどに装着される油圧式レベライザーでは、アキュームレーター内部のガスが自然にリークしてしまうため定期的な交換が必要となる。

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