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アウディ トラブルパターン別対処方法 ~その時どう行動すべき!?~ 【後編】

出先や走行中などにトラブルが発生した時に、どう行動し対処するかによってクルマへのダメージは大きく変わってきます。この記事では前編に引き続き、「トラブルパターン別対処方法~その時どう行動すべき!?」の後編をお届けします。

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目次

エンジンの回転がバラ付いて、アクセルを踏んでも吹け上がりが悪く、軽く吹かしていないとアイドリングせずに止まってしまうような場合、数気筒が燃焼していない可能性が高い。エンジンを回転させるだけならば、3気筒の軽自動車で1気筒停止させたとしても、大きく振動こそするが回ることは回るのだ。
いくつかのシリンダーで燃焼が起きない理由としては、圧縮不良、燃料が供給されない、点火不良などの原因が考えられるが、一番多いのはイグニッションコイルのトラブルだ。これはダイレクト式のイグニッションとなった90年代後半以降のモデルで多発しているもので、ヘッドカバーの上に各気筒別(または点火順序ごと)に取り付けられているイグニッションコイルが機能しなくなるもの。エンジンの熱による影響を受けやすいため、一つのコイルですべての点火を行なっていた時代よりもトラブルが多い。また、一発で完全に動かなくなってしまうプラグコード式とは違い、ダメになったコイルが受け持つ気筒だけが機能しなくなるという点も特徴的だ。
このため問題なのは走ろうと思えば走れてしまうことで、アクセルを吹かしながら何とか自宅や修理工場まで走ってやろうという人も少なくないようだ。ところが、そこには大きな落とし穴が待っていて、点火しない状態で回り続けるシリンダーには燃料だけが供給されてしまうため、油膜切れを起こしやすくシリンダーの壁に大きなキズが入って圧縮不良となる原因になってしまうことがある。また、排気バルブから排気管へ送られる気化ガソリンたっぷりのガスが高温になった触媒などで異常燃焼して、触媒やマフラーを激しく傷めてしまう原因にもなる。
ダイレクトイグニッション世代のモデルで、突然エンジンが大きく振動して吹け上がらなくなった場合は、無理に動かしてはいけない。こういったトラブルに備えて、ある程度年月の経ったクルマには、予備のコイルを一つ備えておくと、トラブル現場での修理が可能になるのだ。

アイドリングでエンジンがブルブルと震え、アクセルを踏んでも吹け上がらない場合、ダイレクト式のイグニッションコイルがダメになっている可能性が高い。

充電警告灯は、何らかの理由で発電がされていない状態になると点灯する。なんの前ぶれもなく突然点灯した場合は、オルタネーター内部のICレギュレーターがパンクしたり、接点であるブラシが摩耗して機能しなくなったという場合が多い。
このようなオルタネーター内部の電気的なトラブルの場合、バッテリーが十分に充電された状態であれば、条件にもよるものの、蓄えられた電気だけでも20分程度は走行することが可能である。例えば高速道路を走行中だったり、安全な待避スペースがない交通量の多い国道、トンネルの中といった場所でトラブルが発生した場合は、慌てずにそのまま安全な場所まで走行するのが正解だ。
バッテリーの電気だけで走行する場合、当然ながら余計な電気は使わないのが鉄則。エアコンは切ってナビやオーディオなどもOFFにする。そのまま近くの修理工場まで移動することができれば幸いだが、バッテリーの電気を使い切ってしまえば路上で突然エンジンが停止して再始動できなくなってしまうので、欲張ってはいけない。電圧計が付いていればいいが、バッテリーの電圧がどの程度低下しているかはワイパーを一回動かせば見当を付けることができる。動きが遅くなってきたら、限界が近いので速やかに安全な場所に停車するべきた。
一方、即走行不能になってしまうのがベアリングの焼き付きなど機械的なトラブルによる充電不良。オルタネーターはプーリーにかかるベルトの張力をケースの前後にあるベアリングで受けているため、このベアリングが摩耗してトラブルを起こすことがある。ただ、この場合は必ず前兆としてガラガラという異音が出るので、これを見逃さないようにすれば突然のトラブルは回避することが可能だ。ベアリングがダメになって充電警告灯が点灯する場合は、通常ロックして回らなくなっているという状況なので、こうなってしまうとベルトが切れて周囲にも大きなダメージが及んでしまう。だから異音のチェックは欠かせないわけだ。

走行中に突然点灯することが多い充電警告灯。バッテリー電圧の低下ではなく、発電がされていない状態になると点灯する。交通状況や安全性を考えて、慌てずに対処するのが大切。

走行中の車内にオイルが焦げた臭いやガソリンの臭いがする場合、すぐに点検してみる必要がある。
まず焦げたオイルの臭いがする場合、一番多いのはヘッドカバーパッキンなどから漏れたエンジンオイルがエキマニに付着して焦げているパターン。これでも量が多ければ燃え出す危険性もあるが、基本的には早く修理工場でみてもらえば問題はない。
危険なのはATのオイルパンやケースなどが破損して、漏れたフルードが下を通るマフラーに直接垂れている場合。これは発火の危険性が高いので、そのまま自走させるのは危ない。もちろんATフルードが不足すればATにも大きなダメージが及ぶので、すぐに停車してレッカーを手配するべきトラブルだ。現在では対策されて問題はなくなったが、
一方、ガソリンの臭いがする場合は少々複雑で、夏場の気温の高い時などであれば、燃料タンクから発生する揮発ガスを処理するためのチャコールキャニスターやバルブ類が機能していなくて、車内にガソリン臭が入ってくる可能性もある。この程度であれば、窓を開けて修理工場まで自走しても問題はない。しかし、燃料ホースの破損などで大量のガソリンが漏れだしていることも考えられ、この場合は即停車してエンジンを切らないと生死に関わる問題になりかねない。
ガソリンの臭いがする時は、まずクルマを停車してエンジンを停止し、車体の下に液体が漏れだしていないかを確認する。この時、いきなりボンネットを開けるのは御法度。新鮮な空気が入ることで突然燃え上がる可能性がある。液体の状態でガソリンが漏れていたら、すぐに消防に連絡して対処してもらう必要がある。いずれにしても、クルマは非常に燃えやすいものだという意識を持ってすぐに対処することが大切だ。

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焦げ臭さの主な原因となるのが、ヘッドカバーや注入口から漏れたオイル。これが下にあるエキマニまで到達すると焦げて臭いを発する。

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