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真夏を乗り切る! 冷却系パーツのメンテナンス

気温が高くなるこの時期は、クルマの各部への負担が大きくなります。そこで重要になってくるのが冷却系パーツのメンテナンス。この記事ではトラブルが多いサーモスタットとウォーターポンプについて解説します。

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エンジンというのは設計された温度でベストな仕事ができるように作られている。金属製のシリンダー内部では部分的に2000℃にも達する激しい爆発が何万回も連続しているのだ。もっと身近な例では、真夏にボンネットを開けたときに、ものすごい熱気を感じたことがあるだろう。これがエンジンが発する輻射熱というやつで、輻射熱だけでも顔を背けたくなるくらい高温になる。そのエンジンを正常に動かすために機能しているのが冷却系だ。文字通りエンジン内部の温度を最適に保つための機構で、一口で冷却系といっても幅広いのだが、ここでは主に水回りに注目してみたい。
新車から1年、2年と経過して、10年目くらいまでのドイツ車では、水回りのメンテナンスが必ず必要になる。場合によっては新車からすでに2回目の交換を済ませているクルマもあるだろう。冷却水を循環させてエンジンにとって最適な温度になるよう常に作動している部位なので、負担が大きくメーカーを問わず消耗品として定期的な交換が必要になっている。
その代表的な部品がサーモスタットとウォーターポンプ。サーモスタットは弁の開閉によって冷却水を最適な温度に保つのが仕事。冷却水が設定された温度まで高くなると、弁が開き冷却水をラジエターに流し込んで水温の上昇を防ぐ。逆に温度が低い時はサーモスタットは閉じたままで、ウォーターポンプが回転しても冷却水はラジエターには循環しない。水温の番人とも言える存在だ。
トラブルとして多いのは常に弁が開いたままになってしまうことで、水温が異常に下がりオーバークールを引き起こす。逆に閉じたままだと冷却水が循環しないため水温が一気に上昇してオーバーヒートとなる。これはエンジンに大ダメージを与えてしまうトラブルなので、すみやかに安全な場所にクルマを停車させて、修理工場に連絡すること。
一般的にはオーバーヒートのほうがよく知られているが、エンジンは冷えすぎてもよくない。高速道路を走行中に水温計を見たらいつもよりも低い状態が続いていたり、一般道に出ても変化がないようであればサーモスタットが壊れている可能性が高いので、即点検してもらおう。
また、近年のドイツ車の多くはサーモスタットとハウジング部分が一体になっており、このハウジング部分から水漏れが発生するケースも多い。このような形状のサーモスタットは単体での部品が供給されていないので、ハウジングごとのASSY交換となる。

冷却ラインに備わるサーモスタット。高年式モデルではハウジングと一体になっているものが多く、熱などの影響で歪みが生じ水漏れを起こすことがある。
ドイツ車の多くに採用されるベルト駆動式のウォーターポンプはベアリングにガタが発生して異音が出ることがある。

ウォーターポンプ不良で多いのが
水漏れと異音

ウォーターポンプとは、冷却水を循環させラジエターに送り込むポンプのこと。エンジンの回転を利用してファンベルトによって駆動されている。そのため出力される水の量はエンジンの回転数に比例して増加する構造だ。構成部品はインペラ、ベアリング、ポンプシャフト、プーリーなど。インペラとは羽のようなものでこれが回転することで水脈を作り出している。
トラブルとしてはインペラ部分が破損してしまうケースがあるが、これはインペラが樹脂製になっているものに多く、オーバーヒートの原因になる危険な症状だ。そのためクルマによっては金属製に対策されたものもある。数あるウォーターポンプの不良でもっとも多いのが水漏れと異音。とくにゴムシールやガスケット部分の劣化により水漏れが発生することが多い。ベルト駆動のウォーターポンプはインペラ部分の軸となるベアリングにガタが出て異音が発生することもある。水漏れと異音が同時に発生していることもあるから、定期的なチェックが欠かせない。
もうひとつ水回りでトラブルが多いのが、ラジエターのサブタンク。樹脂製であるため経年劣化や熱などの影響により亀裂が入り、そこから水漏れを起こしてしまう。このトラブルでやっかいなのが、内部から亀裂が入ってしまうケース。見た目には問題がなさそうでも突然割れて冷却水が漏れてしまい、そのまま走行不能になってしまう。そのため、これまでの交換履歴が分からない場合は、思い切って新品に交換しておくと安心。突然トラブルが起きてレッカーを呼ぶことにならないよう、きっちりとメンテナンスしておきたい部分である。
このように、サーモスタットやウォーターポンプはエンジンを冷却するために重要な役割を担っており、トラブルが発生するとエンジンに大きなダメージを与えてしまったり、場合によっては走行不能になるケースもある。定期的に交換していくことが重要であるのは言うまでもないが、冷却水も2年に1回は全量交換しておくこと。冷却水はエンジンを冷やすだけでなく、防錆成分や消泡成分が含まれている。経年劣化や熱によってそれらは低下していくから、水回りを長持ちさせるためには、純正品を使って定期的に交換しておくことが大切だ。

今回のようなメンテナンスに関する詳しい修理方法はプロに聞くのが一番!

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ラジエターのサブタンクに亀裂が入り水漏れを起こすケースも少なくない。見た目では状態を確認できないことも多いので交換履歴が分からなければ、予防整備として手を入れておきたい部分である。
冷却系はエンジンにとって重要な部分。気温が高くなる夏場はとくに負担がかかりやすいので、一度プロに点検してもらい手を入れておくことでトラブルを未然に防ぐことができる。

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