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アウディ トラブルパターン別対処方法~その時どう行動すべき!?~ 【前編】

出先や走行中などにトラブルが発生した時に、どう行動し対処するかによってクルマへのダメージは大きく変わってきます。例えば、水漏れが発生した場合にそのまま走り続ければ、エンジン本体にも重大な影響を与え、修理代が高額になってしまうこともあります。そこでこの記事では、そういったトラブルが発生した場合の対処方法について、前編、後編に分けてお届けします。

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時と場所を選ばず、突然に襲いかかってくるトラブル。愛車の緊急事態に、焦って冷静な判断ができなくなってしまうかもしれない。しかし、トラブル現場での対処方法によって、その後の修理代に大きな違いが出るのも事実だ。実際、修理工場に取材に行くと「○○○をしてしまったばかりにダメになったエンジン」といった類の部品とよく出くわす。冷静さを失ってついやってしまった行為が、愛車にトドメを刺してしまったとしたら……。輸入車ユーザーなら後悔してもしきれないだろう。
そこでこの記事では、トラブルのパターン別に、その時どう行動するべきかを紹介したい。これくらいは大丈夫だろうと走らせてしまうことで、与えてしまうかもしれないダメージのリスクについても調べてみた。頭の隅に置いておけば、いざトラブルが起きた時にきっと役立つ情報だと思う。
急いでいたり、遠出した先だったり、あとちょっとで自宅に着くという場所だったり、愛車に重大なダメージを与えてしまったケースを分析すると、やはり無理をしていることが多い。趣味として好きで乗っているクルマだからこそ、ドライブには時間的にも、心にも余裕を持って、問題が起きた時にはクルマのことを最優先に思って対処してやるようにしたいもの。輸入車と付き合うからには、腹を立てずに、修理工場へ遠回りする時間も楽しむくらいの心のゆとりを持っていたいものだ。

まずは、冷却水が漏れ出しオーバーヒートが疑わしい時。年数の経ったドイツ車に乗っていると、発生しやすいトラブルのナンバーワンとも言えるのがオーバーヒート。ラジエターは10年で冷却能力が半分程度まで低下すると言われていて、さらにサーモスタットや冷却ファンなどトラブルの要因は他にも数多い。
では実際にオーバーヒートしてしまった場合、どう対処すればいいのか。まず大前提は、ヒート状態のまま走行させないこと。高速道路でオーバーヒートが発生した場合など、「あと少しで出口だから……」とそのまま走ってしまい、ヘッドが歪んでしまったり、ピストンが溶けてエンジンが全損になってしまったというケースは数多い。オーバーヒートが発生したら、まず停止してアイドリング状態のままリザーバタンクの中に冷却水が入っているかどうかを確認する。この時、もちろんキャップを緩めたりしてはいけない。水が入っていれば、ボンネットを開けてヒーターを全開にしてアイドリングを保ち水温の変化を見る。下がるようならば100℃以下になったところでエンジンを停止する。冷却水が高温のままエンジンを停止すると、循環が止まった停止直後に一時的に圧力が非常に高くなるので、ホースの接続部分などから吹き出してしまう可能性が高いからだ。もちろん、さらに上昇するようならば、すぐにエンジンを停止する。
走行中に冷却水が吹き出してしまったような場合は、速やかにエンジンを停止してボンネットを開けて冷めるのを待つ。この場合に問題なのは冷めてからの対処方法で、水を足しても十分なエア抜きができないため、加圧式であるドイツ車の冷却系では水温が上がると再び噴いてしまうことがある。ラジエターキャップを緩めて圧力を逃がした状態で走ることもできるが、水温の変化を常にモニターするなど、自走させるのにはかなりの知識と技術が必要だ。
いずれにしても、すぐ近くに持ち込める修理工場があるような場合を除いて、ヒートの原因が分からないならばレッカーを呼んだ方がいい。

ドイツ車の冷却系はエア抜きが難しい。一度冷却水が吹き出してしまうと、冷めて水を入れても再び噴いてしまうことが多い。先を急いで走らせるよりも、レッカーが来るまで待つという選択も覚えておくようにしたい。

続いて、突然パワステが利かなくなり、ステアリングが重くなってしまうケース。昔のようにパワステのポンプを専用のベルトで駆動していた時代には、ベルトの緩みや切れでパワステが機能しなくなることがあったが、オートテンショナーを持つ1本ベルトで全ての補機類を駆動している現代のクルマでは、パワステが機能しなくなるのは極度のオイル不足か、それによるポンプの焼き付きが発生した時くらいのもの。突然ハンドルが重くなってパワステが機能しなくなった時は、運良くエンジンが回っている=ポンプがロックしていない状態ならば、すぐにエンジンを停止してオイルを追加する必要がある。「昔は重ステだった」なんて言いながらそのまま走ると、確実にポンプがロックして走行不能になってしまう。ちなみにパワステオイルはATフルードでも代用できる。
パワステホースからのオイル漏れはドイツ車のお約束と言ってもいいトラブルで、酷くなるとリザーバタンクが空になってポンプにエアが噛んでしまうことがある。こうなるとステアリングを切った時に大きな音が出るようになるので、この段階ですぐにオイルを足してステアリングを左右に目一杯まで切ってエア抜きをしておきたい。さらに乗り続けると、オイル不足でパワステが機能しなくなりハンドルが重くなる場合があるというわけだ。
モーターの力で直接ステアリングラックをアシストする電動パワステの場合は、ヒューズ切れや機能的なトラブルなど、また違った原因が考えられるが、これもそのまま走ってしまうのは危険。また電動モーターを使って油圧を発生させ、その圧力でパワステを作動させる「電動油圧式」というシステムもあるが、これは基本的に油圧式と同じだと思っていい。ただし、ハンドルが重くなる原因にはポンプのモーター不良やヒューズ切れなども考えられるので、より慎重に対処する必要がある。
いずれにしても、オイル量を定期的にチェックして、漏れがあるようならば長距離ドライブにはオイルを携行するなどの対処をしておきたい。(後編に続く)

今回のようなメンテナンスに関する詳しい修理方法はプロに聞くのが一番!

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パワステのポンプはベルトでプーリーを駆動している。リザーバタンクがポンプと一体になって、小型化されるものもある。また近年では電動パワーステアリングが主流になっている。

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