自動車のメンテナンスの中でも費用がかかる部分であるAT。メルセデス・ベンツに搭載されるATは世代によって機械式と電子制御式があるが、ここではW140、W126、W124、W201など旧世代メルセデスの機械式ATのトラブル原因と気になるオーバーホールについて見ていく。
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目次
クルマにとってATは消耗品である
旧世代メルセデス・ベンツに使われているATは機械式。旧車を愛好する人にとってはシフトチェンジのフィーリングがダイレクトな感触で、それにハマってしまう人も多い。。電気的な部分がほとんどなく構造的に非常にシンプルなのがメリットだと言えるが、きっちりとしたメンテナンスや扱い方を心得ていないとトラブルの発生率は高くなってしまう。
機械式ATは変速時に多少のショックがあるが、内部の劣化が進んでいくと変速ショックが大きくなってくる。また、RレンジからDレンジにシフトチェンジしたときにタイムラグが発生。さらに症状が悪化するとRレンジに入れてもバックしなくなってしまう。
このような症状が起きる原因は、AT内部にあるクラッチディスクなどが劣化してしまうことにある。機械式ATはクラッチディスクに備わる摩材を削りながら作動しているため、その削りカスやスラッジなどが溜まってくるとATの心臓部であるバルブボディの油圧ラインを詰まらせてしまうのだ。
それゆえ、機械式ATは定期的にオーバーホールをする必要があるのである。ATであっても消耗品であるということは覚えておきたいポイントだ。
ATオーバーホールの内容とタイミング
ATオーバーホールのタイミングについて考えてみよう。ATは消耗品であるため、長く使っていけばいずれ修理が必要になる。これは機械式だけでなく、電子制御式でも同じこと。突発的な不良により修理が必要なケースも出てくる。そんなときの対処法として考えられるのが、オーバーホールかリビルト交換かという選択だ。
オーバーホールは愛車に搭載されているATをベースに、各部の徹底的な洗浄、消耗品の交換、調整などが行なわれる。前述したように搭載されているATがベースになるので、状態が悪ければ交換するパーツも増えていくことになる。変速ショックが大きくなっていたり、変速時にタイムラグがあるにもかかわらず走行を続ければAT内部のダメージはさらに深刻になっていく。
費用は工場によって異なるが、機械式4速なら30万円くらいが相場。症状やATのタイプによって変動するのが一般的だが、定額制を導入している工場もある。また、オーバーホールは知識や技術がモノを言う作業なので、信頼できるメカニックに依頼することが大切だ。
オーバーホール以外の選択肢はあるの?
オーバーホール以外の選択肢としてはリビルト交換がある。リビルト品はATケース以外のほとんどの消耗パーツが交換されているので新品交換に近い手法。費用の面ではオーバーホールに比べて倍以上となることが多いが、それだけ安心感は高いと言える。ディーラーでは基本的にリビルト交換だ。
また、中古への載せ換えという手もある。費用的にはもっともリーズナブルではあるが、AT内部を確認できるわけではないのでトラブル再発のリスクを考えるとあまりお勧めはできない。
ATFとフィルター交換など定期的なメンテが寿命を延ばす
機械式ATは、これまでのメンテナンスや日頃の扱い方によって変わってくる。走行8万㎞で壊れてしまうケースもあるし、20万㎞を超えてもノンオーバーホールという場合もある。その差はどこにあるのかというと、走行2万㎞を目安にATFとフィルターの交換するといったメンテナンスや丁寧なシフト操作を実践してきたかの違い。つまり、ATへの負担を少なくしていけば寿命も延びていくのである。
古いから壊れやすいというのは間違いで、トラブルが起きているのはこうしたメンテナンスを怠っているからなのである。むしろ、きっちりと整備されていれば今でも問題なく作動するわけだから、耐久性という意味では高いATだと言えるだろう。
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