Audi

旧世代アウディの足回りメンテはフロントがキモ!

アウディが持つ本来の走りを楽しむために重要となるのが足回りのメンテナンス。旧世代アウディは凝った作りになっていて、4リンクとなるフロントサスペンション、トラペゾイタルと呼ばれる変形ダブルウィッシュボーンのような構造を持つリアサスペンションが採用されている。

輸入車メンテナンスが得意な工場に直接相談
▶お近くの整備工場検索はこちら

目次

国産車とはまったく違った設計思想で作られているドイツ車において、メンテナンスは欠かすことができないファクターだ。とにかく故障が発生しないように、手間がかからないように、ということを最優先にしている日本車に対して、ドイツ車はたとえ部品の消耗が早くなるとしても、機能性と性能の高さを追い求めている。ハンドリング性能や乗り心地を優先するため10年程度で交換が必要になる足回りのゴムブッシュや、ローターを削る強い素材を混ぜてでも強力な利きを実現したブレーキなどは代表的な例である。
こういった考え方の違い、メンテナンスの必要性について、現在ではユーザーに浸透した感がある。ドイツ車を始めとしたヨーロッパ車に乗るならば、色々とメンテナンスが必要だ、ということは半ば常識となった。それでも国産車では決して得られないフィーリングや高速安定性を求めて、ドイツ車を選ぶ人は増え続けているのだ。そんなドイツのクルマ達も、ブランドによる個性の違いが大きい。アウディは4WDのクワトロシステムに代表される高い走行安定性や、先進の独創的メカニズムでロードカーとして高いパフォーマンスを発揮している。

ボールジョイントの劣化により
大きな異音が発生することがある

そんなアウディの走りを支える足回りは凝った作りになっている。それゆえ、メンテナンスにおいても色々とチェックすべき部分がある。ここでは旧世代のアウディを例に見ていこう。旧世代アウディはフロントが4リンク、リアがトラペゾイタルという独自の名称を持つ足回りとなっている。リアサスから先に解説していくと、変形ダブルウィッシュボーンといった構造になっており、基本的なメンテナンスはダブルウィッシュボーンと共通で、名称が異なるからといって耐久性に違いがあるというわけではない。注意したいのはフロントの4リンクサスでボールジョイントの劣化によりガタが出たり、大きな異音が出るなどの症状が発生しやすい。アッパーアームのブッシュが劣化してちぎれてしまうと金属部分と接触して大きな異音が出るのは旧世代アウディに多い事例。その異音の大きさに、初めてアウディに乗る人にとっては何事かと驚くことも少なくない。それゆえ、4リンクサスのボールジョイントは定期的にチェックしておくことが大切だ。
アウディの洗練された乗り味を実現するこの4リンクサスだが、アルミ製であるためすべて交換するとなると想像以上に費用がかかる。本来の走りを取り戻すという意味では純正品を使ってリフレッシュすることがベストだが、近年では純正品以外の補修部品が色々とリリースされているから、それらを使ってみるのも手。耐久性という意味では純正には敵わないが、何もしないよりはずっといい。予算と今後の乗り方に合わせて、最適なチョイスをしてもらいたい。

タイヤを装着した状態でも確認できるフロントのアッパーアームのボールジョイント。ここはアウディの弱点と言える部分で、大径ホイールを履いているクルマほど劣化しやすい。
ホイールハウスの奥に見えるアッパーアームのブッシュが劣化すると大きな異音を発生させる。

シンプルな構造であることが
メンテナンスにおいて有利になることも

アウディのリアサスペンションと言えば、トラペゾイタルという変形ダブルウィッシュボーンという認識が強いと思うが、過去のモデルに遡って見ていくと、例えばB5型A4のリアサスペンションはトレーリングアーム式となっている。複雑なアーム機構を持たず、非常にシンプルな構造となっているのが特長だ。アームはハブと連結されており、ゴムブッシュが一つ装着されている。劣化しやすいボールジョイントで連結されているわけではないので、メンテナンスする箇所はこのブッシュだけでいい。マルチリンクやダブルウィッシュボーンは素晴らしいサスペンションだが、その複雑な構造ゆえに維持費がかかることは事実。シンプルであることが、メンテナンスにおいては有利であることを、A4のリアサスペンションからも見て取ることができる。
また、走行距離が増えてきたクルマではショックアブソーバーからオイルが漏れていたり、抜けてしまっているクルマが多い。乗り心地に大きな影響を与える部分なのでアーム類に手を入れるなら合わせて確認しておきたい部分だ。このメンテのタイミングに合わせて、社外品のショックやスプリングを使いバージョンアップさせるのも面白い。アーム類がガタガタの状態で社外ショックに交換しても意味はないが、きっちりとメンテをした後なら純正とはまた違ったフィーリングを楽しむことができる。

今回のようなメンテナンスに関する詳しい修理方法はプロに聞くのが一番!

輸入車メンテナンスが得意な工場に直接相談
▶お近くの整備工場検索はこちら

 

B5型A4のトレーリングアーム式リアサスペンション。ボールジョイントが存在せず、アームとハブがガッチリと連結されている。ゴムブッシュは一つだけしか使われていない。

この記事をシェアしよう!

この記事が気に入ったらいいね!しよう

Maintenance Lab Archiveの最新記事をお届けします

BACK TO LIST