クルマのことなら全てお任せできるバイブリンゲンだが、その真骨頂は何と言ってもハイレベルな技術を提供している整備だ。かつては積極的に並行輸入を行なっていた同社だけに、現在でも車種を問わずあらゆるクルマの整備を請け負ってくれる。そのため工場内には、メルセデス・ベンツの190E2・5‐16エボリューションⅡなど、非常に希少なモデルも頻繁に入庫するファクトリーなのである。つまり、その高度な整備テクニックに惹かれ、数多くの輸入車マニアがこのバイブリンゲンを訪れているのである。
加えて、近年は現行型の輸入車整備も積極的に行なっており、それらの点検・整備の実施だけで月に100台を超えるほど。そのため最新のコンピュータ診断機が充実しており、多くの現行型の輸入車整備に対応している。
最新の整備ツールを積極的に導入し、現行型の整備を数多く行なっているバイブリンゲンだが、実は昔ながらのアナログな整備も得意としている。取材時、初代ポルシェカイエンのオイル漏れ修理でヘッドガスケット交換を実施中であった。エンジンベイが狭いため、左右のVバンクに備わるヘッドガスケット交換を行なうには、エンジンとミッションを同時に降ろす作業が伴う。こういった地道な分解整備も得意としていることに加えて、最新の整備ツールを使った今流の整備アプローチを積極的に行なっているからこそ、新旧問わず、さらにはメーカーを問わず、あらゆる輸入車の整備を可能にしているのだ。
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また、弱点を補強するオリジナルの修理技術を確立していることもバイブリンゲンの強みのひとつ。その筆頭が、高年式のメルセデス・ベンツに採用されているコマンドコントローラーに、対策品のシャフトを独自にリリースしていること。ここは樹脂製のシャフトが割れるトラブルが頻発しているのだが、同社ではオリジナルの金属製対策シャフトに交換。これによりトラブルはほぼ再発しないというから、使わない手はない。伝統的な整備技術と最新のコンピュータ診断機を使った故障診断やコーディング、さらにはオリジナルの修理技術の提供という、3つの技術力の融合がバイブリンゲンの強みなのである。
コマンドコントローラー対策シャフト
メルセデスW204型のCクラスで採用されて以降、メルセデスの操作アクションツールとなっているコマンドコントローラー。これを支える樹脂製のシャフトは割れなどが生じやすく、操作不能に陥るというトラブルが続出している。バイブリンゲンではこれを防ぐために金属製のシャフトを独自に製作している。金属製なので割れなどが発生することがないため、この対策シャフトに交換することで完治できる。費用はパーツ単品(詳細な交換指示書付き)で8,000円程度、バイブリンゲンで交換を行なう場合は2万円程度となっている。
最近多い修理事例
代表モデル:ポルシェ/BMW/M-Benz
取材時に入庫していたのは初代のポルシェ・カイエン。ヘッドガスケットの劣化でオイル漏れが発生しており、その交換作業を実施していた。このカイエンはオイル漏れや水漏れ修理が多いとのこと。
E46型のM3で実施していたのは、リアのサスペンションアームに付くブッシュの打ち換え。サスペンションブッシュの劣化を見極める診断とスムーズな交換ができる高い整備力を持っている。
最近多いのがメルセデスの油圧サスペンションであるABCトラブル。ダンパーユニット本体ではなく、油圧システムの一部に使用されているゴムホースが劣化し、そこからのオイル漏れが頻発している。